大会実行委員長あいさつ
一昨年の設立総会, 昨年の第1回大会に続き, そろそろ第2回大会の準備を始める時期となりました。昨年同様, 他学会の日程等も勘案しつつ可能な限り多くの会員の皆様が参加しやすい日程として,2025 年 9 月 20 日(土)から 22 日(月)の開催を予定しています。場所は昨年同様, 東北大学青葉山新キャンパスです。 今年は副理事長である中村が大会実行委員長となりました。大会校である東北大学の教員ではない私がお引き受けすることで行き届かない部分が出てしまわないよう,実行委員会のスタッフの皆さんと密に連携しながら,慎重に進めさせていただきたいと思っております。大学を取り巻く社会状況は厳しさを増しており,それなりの規模の学会大会を順番にあちこちで担当して実施するという形をとることが難しくなってきております。その意味では, 幅広い大学・研究機関等の関係者から実行委員会を組織して持続可能な大会運営を目指す試みとして,前向きにとらえております。よろしくお願いいたします。
第2回大会のテーマは「大学入試と社会変動―危機の時代を越える」 です。個別の具体的な入試方法を議論していると見過ごしがちになりますが,大学入試もまた社会の中で存在しており, そうした社会の変化への対応を迫られています。 ただ, こうした大きな社会変動との関連を語る大学入試言説はえてして大まかな印象論になりがちです。「これからは変化の激しい時代だから…」「知識偏重の時代は終わり…」「主体的に考えられる人材が社会から求められ…」等々です。これらをそのまま真に受けて大学入試を論じることに疑問を持つ会員の方々もおられると思います。 そこで今大会では, そうした社会的観点からの大学入試論をアカデミックなレベルで深めていくことをテーマとしてセットすることにいたしました。社会変動には色々なパターンがありますが, 大まかには2つあります。一つは大きな歴史的流れの中で生じる変動です。近代化, 産業化, 情報化, グローバル化…といった社会の構造変容に対応するものです。もう一つは, 突発的な出来事から生じる変動で, 飢饉や戦争,大地震や噴火などの自然災害によって, 突然人々に突きつけられる社会変動です。 今大会では,前者の変動に関連して「キャッチアップ型近代」「大衆教育社会」といったマクロな社会変動を独自の視点から社会学的に論じてきた苅谷剛彦氏をお招きし, 「ポスト大衆化時代の大学入試」を議論します。後者に関しては, 近年におけるもっとも大きな突発的変化の代表としてコロナ禍での大学入試を取り上げ,国際的な視点も踏まえながら多角的に検討します。これらの議論を通じて, 社会変動の中で大学入試を的確に理解しうる視座を得たいと思っております。
会員の皆様もぜひ大会においでいただき, ふるって議論にご参加いただけますよう, よろしくお願い申し上げます。
大学入試学会第2回大会実行委員会委員長 中村 高康